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法村友井バレエ団「眠れる森の美女」2008/6/14
オーロラ姫:法村珠里
デジレ王子:アンドリアン・ファジェーエフ
リラの精:堤本麻起子
悪の精カラボス:マシモ・アクリ
フロレスタン24世:井口雅之
王妃:宮本東代子
青い鳥:今村泰典
フロリナ王女:室尾由紀子
会場:大阪フェスティバルホール
私はこのバレエ団のことを何も知らなくて、ただ単に「ファジェーエフが出るから」という理由で観に行きました。ファジェーエフの出演する全幕の「眠れる森の美女」は、これを逃したらいつまた観られるかわかりませんからね。
さて、幕が上がってしばらくしてから気付いたのが、これがマリインスキーと同じセルゲーエフ版だということでした。これは本当に嬉しかったです。私は本家マリインスキーのセルゲーエフ版「眠り」は一度しか観たことがなく、次に観た時はあのコテコテ衣装の原典版でした。原典版の「眠り」の第二幕は王子がほとんど踊らず、クルクル巻き毛のヘンテコなカツラを常にかぶっているというショッキングなものでした。だからファジェーエフが踊るのを観る時は、なんとしても「セルゲーエフ版で観たい!」と切望しておりました。後で知りましたが、このバレエ団はそもそもロシアバレエの流れをくんでいたのですね。セルゲーエフ版といっても、マリインスキーのとは背景のセットが違うし、衣装も若干違います。第三幕の金・銀・サファイア・ダイヤモンドのパ・ド・カトルは、男性一人、女性2人のパ・ド・トロワにするなど、いくつかの改訂がされているようでした。
主役の法村珠里さんは、これが主役デビューだそうです(たぶん「眠り」の主役、という意味かと)。近年、ファジェーエフはパートナーに恵まれていないと思う事が何度かあったので、今度のお相手は大丈夫なんだろうか、と実はちょっと心配しておりました。初めての主役だというし・・・。でも、実際観てみたら珠里さんのテクニックはとても安定していて、安心して観ていられました。特に一幕と三幕のオーロラらしい堂々とした晴れやかな笑顔が素敵で、二幕の憂いのある表情も良かったです。ただ初挑戦の役のためか、慎重になっていたようにも見受けられました。しかし、珠里さんのおかげで、王子らしい王子のファジェーエフが観られた事は言うまでもありません。
さあ、ここからは、萌え萌えファン・モードですよ〜。気をつけてね(笑)
第二幕から登場の王子のファジェーエフ。公演チラシの写真はセルゲーエフ版の茶色の衣装でしたが、この時は薄い色の渋めのグリーンでした。私は以前からセルゲーエフ版の二幕の王子衣装は古臭いし、王子と言うより家来のようだと感じていました。だから今回のこの色は、少しは華やかな感じです。本来は薄いカーキ色なので、おそらくこれはファジェーエフ仕様の衣装なんでしょうね。
ファジェーエフのデジレ王子は、「くるみ」の時のようなお伽の国のメルヘン王子風ではなく、「白鳥の湖」の時のようなセンチメンタルな文学青年風の王子でもありませんでした。ちょっと大人で、若いエネルギーに満ちた精悍な感じの王子です。この微妙な違いを演じ分けるところがさすがです。そして、森の中でオーロラと出会い、次第に心惹かれていく様子が手に取るようにわかるのです。オーロラが去ってしまうと、オーロラへの想いが高まって、デジレ王子の心は爆発しそう・・・そんな気持ちを弾けるようなマネージュで表現しました。かなり身体にキレがあったように思います。その後もリラの精と船でオーロラの元へ向かうのですが、船上に立って過ぎ行く景色を眺めながらも、オーロラに逢えるというワクワク感が表情から伝わってきました。そして、オーロラが眠っているベッドまで行って口づけをすると、自分の唇に手をそっと置きながらオーロラから離れました(DVDの「眠り」では、さっさと歩いて離れた感じでしたが)。「オーロラに逢いたい」という願いが叶った喜びと、これから目を覚ますであろうオーロラとの対面に緊張する王子の心の動揺が現れているかのようですね。
第三幕。白い衣装のファジェーエフ。これがもう、似合いすぎるわ〜(笑)。歩き方も仕草も何もかも、完璧に王子です(これ、何度も書いている気がするけど)。グラン・パ・ド・ドゥは、この上ない美しさでした(ファジェーエフばかり見てましたが・・・すいません)。ファジェーエフのサポートはいつもさりげなく、自分のソロにおいては必要以上に自分をアピールすることはあまりありません。でも、身体に叩き込まれた高度な技術と美しい舞踊スタイルで創り上げていく彼の踊りは、伝統を守りながら工芸品を作る職人芸に似ているように思います。彼は、自分のやるべき事をひたすら遂行しているに過ぎないのかもしれません。でも、それを完璧にこなす事は誰にでもできる事ではなくて、ほんの一握りのダンサー、つまりファジェーエフのような人だけが出来ることなのだと思います。他にマリインスキーで同じようなタイプのダンサーはというと、セルゲイ・ヴィハレフあたりがそうだったかも。
グラン・パ・ド・ドゥが終わり、終曲〜アポテオーズとなるところ、オーロラとデジレを中心に、出演者全員が同じ振付けで踊るところがあります。群舞に混じってゴチャゴチャした中で踊るせいか、過去のキーロフ・バレエのVTRを観ると、テキトーに踊っているダンサーが結構多いです。しかし、ファジェーエフはこんな時でさえ、決して手を抜かないのです。ソロでのいわゆる「見せ場」をしっかり踊るのは当然の事でしょう。でもこういった、何でもないようなシーンにこそ、そのダンサーの舞踊に対する姿勢が現れるものではないでしょうか?。実はこの公演の中で、私が最も感動したシーンがココでした(笑)。女性と男性がペアでフォークダンス風の踊りをするのですが(マズルカですね)、ファジェーエフの踊りが、もう〜っ素晴らしかったのですよ。スッと差し出す真っ直ぐに伸びた脚、表情のある腕、指、首、全てが丁寧(←これは大事!)で美しい動き・ポーズだったのです。こんなに美しくフォークダンスを踊る人は見たことないですよ(笑)。
男性舞踊手は、ガラ公演でもてはやされるような派手な踊りのできるダンサーに人気があります。確かに高い跳躍、高速回転等は、バレエの見所の一つです。でも、やっぱり私は基本的に物語の役柄を的確に表現できるダンサーが好きです。ファジェーエフはもちろん技術的にも優れたダンサーであることは間違いないです。でも、それ以上に演じるという技術が優れていると思うのです。
今回のパンフレットには、芸術監督を務めた法村圭緒氏のコメントに、王子役には「彼(ファジェーエフ)がだめならやめてもいい!」というくらいの気持ちでオファーをした、という事が書いてありました。それは以前からファジェーエフの「物語そのものを作り上げる能力」に感心していたからなのだそうです。それ、すごくよくわかりますわ〜(笑)。この公演は珠里さんのパートナーとしても、ファジェーエフの起用は成功だったと思います。身長のバランスも良かったですしね。
他に、リラの精の堤本麻起子さんが良かったです。腕使いがとてもきれいで、ファジェーエフと踊るところなど、ロシアのバレエ団の公演を観ているような錯覚を覚えましたもの。あと、公演パンフレットが良かったです。表紙・裏表紙以外は白黒印刷なんですが、出演者の顔写真が個別に載っていて親切です。また、ファジェーエフの紹介写真が小さいけれど良かったです。黒いTシャツと短パンで生脚の清清しい立ち姿でした。リハーサルの写真も載っていて、アディダスのTシャツ姿が妙に私のツボにハマりましたよ(笑)。
是非、またファジェーエフをゲストで呼んでくれるといいなあ。大阪なら、なんとか観に行けますので〜。東京でならもっと嬉しいけど。
デジレ王子:アンドリアン・ファジェーエフ
リラの精:堤本麻起子
悪の精カラボス:マシモ・アクリ
フロレスタン24世:井口雅之
王妃:宮本東代子
青い鳥:今村泰典
フロリナ王女:室尾由紀子
会場:大阪フェスティバルホール
私はこのバレエ団のことを何も知らなくて、ただ単に「ファジェーエフが出るから」という理由で観に行きました。ファジェーエフの出演する全幕の「眠れる森の美女」は、これを逃したらいつまた観られるかわかりませんからね。
さて、幕が上がってしばらくしてから気付いたのが、これがマリインスキーと同じセルゲーエフ版だということでした。これは本当に嬉しかったです。私は本家マリインスキーのセルゲーエフ版「眠り」は一度しか観たことがなく、次に観た時はあのコテコテ衣装の原典版でした。原典版の「眠り」の第二幕は王子がほとんど踊らず、クルクル巻き毛のヘンテコなカツラを常にかぶっているというショッキングなものでした。だからファジェーエフが踊るのを観る時は、なんとしても「セルゲーエフ版で観たい!」と切望しておりました。後で知りましたが、このバレエ団はそもそもロシアバレエの流れをくんでいたのですね。セルゲーエフ版といっても、マリインスキーのとは背景のセットが違うし、衣装も若干違います。第三幕の金・銀・サファイア・ダイヤモンドのパ・ド・カトルは、男性一人、女性2人のパ・ド・トロワにするなど、いくつかの改訂がされているようでした。
主役の法村珠里さんは、これが主役デビューだそうです(たぶん「眠り」の主役、という意味かと)。近年、ファジェーエフはパートナーに恵まれていないと思う事が何度かあったので、今度のお相手は大丈夫なんだろうか、と実はちょっと心配しておりました。初めての主役だというし・・・。でも、実際観てみたら珠里さんのテクニックはとても安定していて、安心して観ていられました。特に一幕と三幕のオーロラらしい堂々とした晴れやかな笑顔が素敵で、二幕の憂いのある表情も良かったです。ただ初挑戦の役のためか、慎重になっていたようにも見受けられました。しかし、珠里さんのおかげで、王子らしい王子のファジェーエフが観られた事は言うまでもありません。
さあ、ここからは、萌え萌えファン・モードですよ〜。気をつけてね(笑)
第二幕から登場の王子のファジェーエフ。公演チラシの写真はセルゲーエフ版の茶色の衣装でしたが、この時は薄い色の渋めのグリーンでした。私は以前からセルゲーエフ版の二幕の王子衣装は古臭いし、王子と言うより家来のようだと感じていました。だから今回のこの色は、少しは華やかな感じです。本来は薄いカーキ色なので、おそらくこれはファジェーエフ仕様の衣装なんでしょうね。
ファジェーエフのデジレ王子は、「くるみ」の時のようなお伽の国のメルヘン王子風ではなく、「白鳥の湖」の時のようなセンチメンタルな文学青年風の王子でもありませんでした。ちょっと大人で、若いエネルギーに満ちた精悍な感じの王子です。この微妙な違いを演じ分けるところがさすがです。そして、森の中でオーロラと出会い、次第に心惹かれていく様子が手に取るようにわかるのです。オーロラが去ってしまうと、オーロラへの想いが高まって、デジレ王子の心は爆発しそう・・・そんな気持ちを弾けるようなマネージュで表現しました。かなり身体にキレがあったように思います。その後もリラの精と船でオーロラの元へ向かうのですが、船上に立って過ぎ行く景色を眺めながらも、オーロラに逢えるというワクワク感が表情から伝わってきました。そして、オーロラが眠っているベッドまで行って口づけをすると、自分の唇に手をそっと置きながらオーロラから離れました(DVDの「眠り」では、さっさと歩いて離れた感じでしたが)。「オーロラに逢いたい」という願いが叶った喜びと、これから目を覚ますであろうオーロラとの対面に緊張する王子の心の動揺が現れているかのようですね。
第三幕。白い衣装のファジェーエフ。これがもう、似合いすぎるわ〜(笑)。歩き方も仕草も何もかも、完璧に王子です(これ、何度も書いている気がするけど)。グラン・パ・ド・ドゥは、この上ない美しさでした(ファジェーエフばかり見てましたが・・・すいません)。ファジェーエフのサポートはいつもさりげなく、自分のソロにおいては必要以上に自分をアピールすることはあまりありません。でも、身体に叩き込まれた高度な技術と美しい舞踊スタイルで創り上げていく彼の踊りは、伝統を守りながら工芸品を作る職人芸に似ているように思います。彼は、自分のやるべき事をひたすら遂行しているに過ぎないのかもしれません。でも、それを完璧にこなす事は誰にでもできる事ではなくて、ほんの一握りのダンサー、つまりファジェーエフのような人だけが出来ることなのだと思います。他にマリインスキーで同じようなタイプのダンサーはというと、セルゲイ・ヴィハレフあたりがそうだったかも。
グラン・パ・ド・ドゥが終わり、終曲〜アポテオーズとなるところ、オーロラとデジレを中心に、出演者全員が同じ振付けで踊るところがあります。群舞に混じってゴチャゴチャした中で踊るせいか、過去のキーロフ・バレエのVTRを観ると、テキトーに踊っているダンサーが結構多いです。しかし、ファジェーエフはこんな時でさえ、決して手を抜かないのです。ソロでのいわゆる「見せ場」をしっかり踊るのは当然の事でしょう。でもこういった、何でもないようなシーンにこそ、そのダンサーの舞踊に対する姿勢が現れるものではないでしょうか?。実はこの公演の中で、私が最も感動したシーンがココでした(笑)。女性と男性がペアでフォークダンス風の踊りをするのですが(マズルカですね)、ファジェーエフの踊りが、もう〜っ素晴らしかったのですよ。スッと差し出す真っ直ぐに伸びた脚、表情のある腕、指、首、全てが丁寧(←これは大事!)で美しい動き・ポーズだったのです。こんなに美しくフォークダンスを踊る人は見たことないですよ(笑)。
男性舞踊手は、ガラ公演でもてはやされるような派手な踊りのできるダンサーに人気があります。確かに高い跳躍、高速回転等は、バレエの見所の一つです。でも、やっぱり私は基本的に物語の役柄を的確に表現できるダンサーが好きです。ファジェーエフはもちろん技術的にも優れたダンサーであることは間違いないです。でも、それ以上に演じるという技術が優れていると思うのです。
今回のパンフレットには、芸術監督を務めた法村圭緒氏のコメントに、王子役には「彼(ファジェーエフ)がだめならやめてもいい!」というくらいの気持ちでオファーをした、という事が書いてありました。それは以前からファジェーエフの「物語そのものを作り上げる能力」に感心していたからなのだそうです。それ、すごくよくわかりますわ〜(笑)。この公演は珠里さんのパートナーとしても、ファジェーエフの起用は成功だったと思います。身長のバランスも良かったですしね。
他に、リラの精の堤本麻起子さんが良かったです。腕使いがとてもきれいで、ファジェーエフと踊るところなど、ロシアのバレエ団の公演を観ているような錯覚を覚えましたもの。あと、公演パンフレットが良かったです。表紙・裏表紙以外は白黒印刷なんですが、出演者の顔写真が個別に載っていて親切です。また、ファジェーエフの紹介写真が小さいけれど良かったです。黒いTシャツと短パンで生脚の清清しい立ち姿でした。リハーサルの写真も載っていて、アディダスのTシャツ姿が妙に私のツボにハマりましたよ(笑)。
是非、またファジェーエフをゲストで呼んでくれるといいなあ。大阪なら、なんとか観に行けますので〜。東京でならもっと嬉しいけど。
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