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DVD:キーロフ・バレエ「ライモンダ」
ライモンダ:イリーナ・コルパコワ
ジャン・ド・ブリエンヌ:セルゲイ・ベレジノイ
アブデラマン:ゲンナジー・セリュツキー
全3幕
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:マリウス・プティパ
改訂振付:コンスタンチン・セルゲイエフ
収録:1980年、キーロフ劇場
発売元:新書館
ボリショイ・バレエのグリゴローヴィチ版のビデオ(セメニャカ、ムハメドフ、タランダ出演。以下、グリゴローヴィチ版についてはこの映像を基準に書いています)を持っていて、それをすごく気に入っているのですが、「マリインスキーの『ライモンダ』って、どんなんだろう?」という疑問からこれを買いました。1980年の収録だから、かなり古い映像ですけど、これしかないんですよ。
収録がだいぶ前だから、というのもあるとは思うのですが、特に群舞の衣装がなんだかダサくて地味で安っぽいです・・・。ロシアのバレエだから(?)ある程度は許容範囲なのですけど、これはヤボった過ぎます。私が持っているボリショイの映像だって1980年代の収録だと思いますけど、こちらはかなり華やかだったので、キーロフの映像にはちょっと引きました。非常にクラシカルで、落ち着いていて、歴史もののリアリティのある衣装だと言えるのかもしれませんが。でも、バレエにそういうリアリティは望んでいませんって。
一幕の最初から戦場に出かける前のジャン・ド・ブリエンヌが登場するグリゴローヴィチ版と違って、このセルゲイエフ版では既に出征してしまったジャンが、ライモンダの夢の中で初めて登場します。見ていて「やっと出てきた〜」って感じでしたが、このジャン役のダンサーが、常に緊張気味にコルパコワのサポートをしているようで、騎士らしい頼もしさがなく、高貴な者の優雅さのカケラも感じられません。ジャンは、この演目の目玉(私的には・笑)である白マントをここでは着けています。が、いかんせん衣装がダサすぎます。しかも、このダンサーに似合っていません。登場シーンからずっと白マント&煌びやかな衣装のグリゴローヴィチ版のジャンと比べると、「なんだかなあ・・・」って感じでした(苦笑)。そして、キーロフのジャンはひたすら必死にライモンダのサポートばかりで、ここまでほとんど踊りません。たぶん、バレリーナのためにあるようなこの演目の精神(?)を、セルゲイエフ版は忠実に受け継いだのでしょう。でも、1980年代ならこの演出でもいいですけど、現代にこれを上演するのなら、もうちょっと男性ダンサーの見せ場を作るように改訂してもらいたいです。ジャンの存在感が薄すぎます。
イリーナ・コルパコワは素敵です。この映像の当時、なんと47歳ですよ。古風で小柄で、ダイナミックさはないかもしれませんが、とても優雅でキーロフのバレリーナの鑑のような人です。ゆっくり踊るので難しいという、あのライモンダのヴァリエーションも、まさにお手本のよう。コルパコワが出ているのだから、「あとはどうでもいいか・・・」と思えてしまうのでした。
しかし、どうでもよくはありませんでした(笑)。ルジマトフやコルプを育てた教師としても有名な、ゲンナジー・セリュツキーがアブデラマン役なのでした。なるほど、セリュツキー先生って、ダンサー時代はこういうキャラクターだったのですね。納得でした。でも残念なことに、「ライモンダ」はバレリーナのための作品なので(苦笑)、アブデラマンの出番が多い割には踊りの見せ場が少なめでした。グリゴローヴィチ版は、ジャンもアブデラマンも踊りまくるのですけどね。しかし、セリュツキーのアブデラマンもなかなか素敵なのでした。ホントにルジマトフも言っていましたけど、セルゲイエフ版で見る限り、なんでライモンダはジャンの方がいいのか、サッパリわかりません(笑)。グリゴローヴィチ版のジャンは魅力的な騎士であるのがよくわかるのですが、セルゲイエフ版のジャンは性格付けが曖昧で、どういう人物なのか見ていて全く伝わってきません。それに、常に緊張気味だし・・・単に、ダンサーの問題でしょうか? あと、戦場から帰ってきたジャンの衣装がまた絶句。「ジャンは、銀色宇宙人だったのですか!?」って感じ。だから、そういうリアリティはいらないんですけどぉ。
ボリショイ・ダンサーがガラ公演でよく踊っている「ライモンダ」のアダージョは、セルゲイエフ版にはありません。ジャンがアブデラマンを倒し、「めでたし、めでたし」ですぐに幕が下りてしまいます。グリゴローヴィチ版に慣れてしまった目には、それがあっけなく映ったのでした。
第三幕はほとんど踊りだけです。異国情緒あふれる荘厳なグラン・パは、この演目最大の見所であり、ライモンダ役のバレリーナの存在感をアピールするような場でもありました。ここは、華のないバレリーナには厳しい幕ですね。コルパコワにはもちろん、舞台を支配する輝きがありました。どうして、こういう人がマリインスキー劇場に残ら(れ?)なかったのか・・・。
ガラ公演での「ライモンダ」といえば、グリゴローヴィチ版の二幕のアダージョを最近よく見かけます。昨年の合同ガラ、今年のチャリティ・ガラがそう。DVDに収録のプラハでのガラ公演でもアレクサンドロワとフィーリンがこれを踊っています。よほどボリショイ・バレエでは、これが「ライモンダ」を象徴するようなシーンなのでしょうね。あと、「アナニアシヴィリと世界のスターたち2」のVTRでも、アナニアシヴィリが「ライモンダ」を踊っているのですが、解説書には「第一幕のパ・ド・ドゥ」とありました。確かに、アダージョ以外は一幕のものでしたが。アナニアシヴィリがボリショイにいた時代に改訂されたのでしょうか? 現在はどうなっているのか確認したいので、是非とも次回のボリショイ来日公演には、この「ライモンダ」を持ってきて欲しいものです。・・・話がボリショイになっちゃった。
マリインスキー・ダンサーでは、2003年の「バレエの女神」公演で、ユリヤ・マハリナが第三幕のグラン・パ・クラシックを二人用にアレンジしたものを踊っていました。この時のマトヴィエンコは即席パートナーでしたが、私が唯一マリインスキー・ダンサーが踊る「ライモンダ」を生で観られたのがこの時でした。マリインスキーでは、やっぱり第三幕こそが見所なのでしょうね。(追記:2000年にヴェロニカ・パルトとコルスンツェフ中心のグラン・パ・クラシックを見たことがありました。記憶消失・・・。)
エンターティメントという意味ではやや難のあるこのセルゲイエフ版ですが、古典バレエの素朴さというか、キーロフ・バレエの古き良き時代を知る事ができる映像でした。最近はテクニック重視の傾向があるバレエ界ですが、ロシアのバレリーナには、このコルパコワの踊りを観て、その優雅さを学んで舞台に活かしてもらいたい、とロシアバレエのファンとしては思うのでした。
ジャン・ド・ブリエンヌ:セルゲイ・ベレジノイ
アブデラマン:ゲンナジー・セリュツキー
全3幕
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:マリウス・プティパ
改訂振付:コンスタンチン・セルゲイエフ
収録:1980年、キーロフ劇場
発売元:新書館
ボリショイ・バレエのグリゴローヴィチ版のビデオ(セメニャカ、ムハメドフ、タランダ出演。以下、グリゴローヴィチ版についてはこの映像を基準に書いています)を持っていて、それをすごく気に入っているのですが、「マリインスキーの『ライモンダ』って、どんなんだろう?」という疑問からこれを買いました。1980年の収録だから、かなり古い映像ですけど、これしかないんですよ。
収録がだいぶ前だから、というのもあるとは思うのですが、特に群舞の衣装がなんだかダサくて地味で安っぽいです・・・。ロシアのバレエだから(?)ある程度は許容範囲なのですけど、これはヤボった過ぎます。私が持っているボリショイの映像だって1980年代の収録だと思いますけど、こちらはかなり華やかだったので、キーロフの映像にはちょっと引きました。非常にクラシカルで、落ち着いていて、歴史もののリアリティのある衣装だと言えるのかもしれませんが。でも、バレエにそういうリアリティは望んでいませんって。
一幕の最初から戦場に出かける前のジャン・ド・ブリエンヌが登場するグリゴローヴィチ版と違って、このセルゲイエフ版では既に出征してしまったジャンが、ライモンダの夢の中で初めて登場します。見ていて「やっと出てきた〜」って感じでしたが、このジャン役のダンサーが、常に緊張気味にコルパコワのサポートをしているようで、騎士らしい頼もしさがなく、高貴な者の優雅さのカケラも感じられません。ジャンは、この演目の目玉(私的には・笑)である白マントをここでは着けています。が、いかんせん衣装がダサすぎます。しかも、このダンサーに似合っていません。登場シーンからずっと白マント&煌びやかな衣装のグリゴローヴィチ版のジャンと比べると、「なんだかなあ・・・」って感じでした(苦笑)。そして、キーロフのジャンはひたすら必死にライモンダのサポートばかりで、ここまでほとんど踊りません。たぶん、バレリーナのためにあるようなこの演目の精神(?)を、セルゲイエフ版は忠実に受け継いだのでしょう。でも、1980年代ならこの演出でもいいですけど、現代にこれを上演するのなら、もうちょっと男性ダンサーの見せ場を作るように改訂してもらいたいです。ジャンの存在感が薄すぎます。
イリーナ・コルパコワは素敵です。この映像の当時、なんと47歳ですよ。古風で小柄で、ダイナミックさはないかもしれませんが、とても優雅でキーロフのバレリーナの鑑のような人です。ゆっくり踊るので難しいという、あのライモンダのヴァリエーションも、まさにお手本のよう。コルパコワが出ているのだから、「あとはどうでもいいか・・・」と思えてしまうのでした。
しかし、どうでもよくはありませんでした(笑)。ルジマトフやコルプを育てた教師としても有名な、ゲンナジー・セリュツキーがアブデラマン役なのでした。なるほど、セリュツキー先生って、ダンサー時代はこういうキャラクターだったのですね。納得でした。でも残念なことに、「ライモンダ」はバレリーナのための作品なので(苦笑)、アブデラマンの出番が多い割には踊りの見せ場が少なめでした。グリゴローヴィチ版は、ジャンもアブデラマンも踊りまくるのですけどね。しかし、セリュツキーのアブデラマンもなかなか素敵なのでした。ホントにルジマトフも言っていましたけど、セルゲイエフ版で見る限り、なんでライモンダはジャンの方がいいのか、サッパリわかりません(笑)。グリゴローヴィチ版のジャンは魅力的な騎士であるのがよくわかるのですが、セルゲイエフ版のジャンは性格付けが曖昧で、どういう人物なのか見ていて全く伝わってきません。それに、常に緊張気味だし・・・単に、ダンサーの問題でしょうか? あと、戦場から帰ってきたジャンの衣装がまた絶句。「ジャンは、銀色宇宙人だったのですか!?」って感じ。だから、そういうリアリティはいらないんですけどぉ。
ボリショイ・ダンサーがガラ公演でよく踊っている「ライモンダ」のアダージョは、セルゲイエフ版にはありません。ジャンがアブデラマンを倒し、「めでたし、めでたし」ですぐに幕が下りてしまいます。グリゴローヴィチ版に慣れてしまった目には、それがあっけなく映ったのでした。
第三幕はほとんど踊りだけです。異国情緒あふれる荘厳なグラン・パは、この演目最大の見所であり、ライモンダ役のバレリーナの存在感をアピールするような場でもありました。ここは、華のないバレリーナには厳しい幕ですね。コルパコワにはもちろん、舞台を支配する輝きがありました。どうして、こういう人がマリインスキー劇場に残ら(れ?)なかったのか・・・。
ガラ公演での「ライモンダ」といえば、グリゴローヴィチ版の二幕のアダージョを最近よく見かけます。昨年の合同ガラ、今年のチャリティ・ガラがそう。DVDに収録のプラハでのガラ公演でもアレクサンドロワとフィーリンがこれを踊っています。よほどボリショイ・バレエでは、これが「ライモンダ」を象徴するようなシーンなのでしょうね。あと、「アナニアシヴィリと世界のスターたち2」のVTRでも、アナニアシヴィリが「ライモンダ」を踊っているのですが、解説書には「第一幕のパ・ド・ドゥ」とありました。確かに、アダージョ以外は一幕のものでしたが。アナニアシヴィリがボリショイにいた時代に改訂されたのでしょうか? 現在はどうなっているのか確認したいので、是非とも次回のボリショイ来日公演には、この「ライモンダ」を持ってきて欲しいものです。・・・話がボリショイになっちゃった。
マリインスキー・ダンサーでは、2003年の「バレエの女神」公演で、ユリヤ・マハリナが第三幕のグラン・パ・クラシックを二人用にアレンジしたものを踊っていました。この時のマトヴィエンコは即席パートナーでしたが、私が唯一マリインスキー・ダンサーが踊る「ライモンダ」を生で観られたのがこの時でした。マリインスキーでは、やっぱり第三幕こそが見所なのでしょうね。(追記:2000年にヴェロニカ・パルトとコルスンツェフ中心のグラン・パ・クラシックを見たことがありました。記憶消失・・・。)
エンターティメントという意味ではやや難のあるこのセルゲイエフ版ですが、古典バレエの素朴さというか、キーロフ・バレエの古き良き時代を知る事ができる映像でした。最近はテクニック重視の傾向があるバレエ界ですが、ロシアのバレリーナには、このコルパコワの踊りを観て、その優雅さを学んで舞台に活かしてもらいたい、とロシアバレエのファンとしては思うのでした。
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